障がい者グループホームは、障がいのある方が地域で自立した生活を送ることができるよう適切にサポートし、そのための共同住居を提供するサービスです。

そのため、障がい者グループホームの開業をご検討の方々は、住宅地にある空家(既存戸建住宅)の活用を考えられる方が多いです。

そのまま使える部分が多く、生活する場所として適していると考えられるからです。

しかし、障がい者グループホームの建物は、建築基準法上「寄宿舎」として扱われており、通常、既存戸建住宅を障がい者グループホームとして利用するには、「寄宿舎」の厳しい基準に合わせなければならず、多額の費用がかかる場合があります。

そこで、既存の建物を活用する観点から、一定の要件を満たした場合には、「寄宿舎」としてではなく「一般住宅」とみなす取扱いが行われています。

障がい者グループホームの開業をお考えの方が物件を探す際には、下記条件を満たし「一般住宅」としていなされる要件にあてはまる物件をご検討ください。

また、この扱いは、都道府県建築主事を置く市によって内容が異なる場合もあるため、必ず事前に、建築確認を所管する担当課にご確認ください。

なお、消防法での取扱いは別となりますので、別途、所轄の消防署へ確認する必要がありますのでご注意ください。

大阪府・堺市の場合

大阪府内の事業所の場合は、基本的にはどの指定権者も大阪府のチェックリストの内容を使用されていますが、建築基準法上の細かな規程や解釈がありますので、ご自身で判断せず、必ず関係部署に事前確認は行うようにしてください。

対象要件
共同生活援助の用に供するものであること
既存一戸建て住宅を転用するものであること
運営管理要件
各行政庁が定期的に実地指導等を行い、基準等及び本申し合わせ事項の内容を確認していること
入居者数は7人以内とすること
歩行介助がなければ避難できない入居者の居室は避難階に位置すること
歩行介助がなければ避難できない人・・・二肢以上に麻痺があり、かつ「移乗」、「移動」のいずれかに支援が必要な人
夜間支援従事者等の配置等、災害発生時の有効な連絡体制、避難体制がとられていること
夜間支援従業者の配置・・・夜間支援体制加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)の届出を行っていること。
災害発生時の有効な連絡体制、避難体制・・・夜間も含めた災害発生時の下記のような体制が構築され、その体制がマニュアルとして配布、事業所掲示板への貼り付けなどにより、従業員、入居者へ周知され、有効に機能していること。
連絡体制の構築・・・緊急連絡先一覧の作成、運営法人や共同生活援助の従業員等間での連絡網の作成、職員の参集基準の作成等(堺市の場合夜間支援体制加算(Ⅲ)の届出要)
避難体制の構築・・・避難時の誘導体制、避難場所、避難手段等の想定、近隣住民等の地域との連携
入居者の障がい特性に応じた有効な出火防止対策がとられていること。
※調理器具、暖房器具使用時の世話人立会い、調理器具のIH化、所定場所での喫煙、住居内へのライターの持ち込み禁止、暖房器具の電化、寝具、カーペット・カーテンなどの防災化等
非常災害時の避難訓練を定期的に行うこと。
施設・設備要件
床面積が200㎡未満であること。
10防火上主要な仕切壁の設置を要しないものとして、自動スプリンクラー設備等が設置されたもの、若しくは防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準(告示)に適合するもの

国土交通大臣が定める基準
下の①~③すべてに適合すること
床面積が100㎡以下の階又は居室の床面積100㎡以内ごとに準耐火構造の壁若しくは防火設備で区画されている部分であること
②各居室に煙感知式の住宅用防災報知設備若しくは自動火災報知設備又は連動型住宅用防災警報器が設置されていること
③以下の(ア)又は (イ)に該当すること
(ア)各居室から直接屋外又は避難上有効なバルコニーへの避難が可能なこと
※屋外への出口、バルコニーから幅員50㎝以上の通路により道路に避難が可能なこと。 
(イ)各居室の出口から屋外への出口に至る歩行距離が8m以下であり、かつ各居室及び避難通路(廊下)とが間仕切壁と常時閉鎖式又は自動的に閉鎖する戸(襖、障子は除く)で区画されていること
※各居室及び避難通路(廊下)の内装仕上げが難燃材料の場合は16m

居室の定義・・・建築基準法上「居室」は、「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と規定されています。
よって、利用者の居室以外にも、リビング、台所(食事室として兼用しない小規模な物は除かれます)、世話人室等は居室として扱われ、トイレや浴室は除かれます。

常時閉鎖式の戸・・・手も離すと自動的に閉まる戸のことをいいます。市販のドアクローザー等を設置して適合させる必要があります。

11各居室に煙感知式の住宅用防災報知設備若しくは自動火災報知設備又は連動型住宅用防災警報器が設置されていること
12介護等の提供を行う福祉施設等他の用途との複合用途建築物でないもの
13し尿浄化槽が設置されている場合は、原則として、定員数が処理対象人数を超えていないこと

大阪府の該当ページはこちら

>> 大阪府/既存戸建て住宅を障がい者グループホームとして活用する場合の取扱いについて

堺市の該当ページはこちら

>> 堺市/既存戸建て住宅を活用したグループホームに関する建築基準法上の取扱いに関する申し合わせチェックリスト

障がい者グループホームのその他設備基準

障がい者グループホームを開業するためのその他()の設備基準については、こちらをご確認ください。

>> 障がい者グループホームを開設するための物件(建物)及び設備基準について

障がい者グループホームの開設をご検討の方へ

障がい者グループホームの開設にあたっては、事業計画の策定、物件の選定、人員の確保運営に必要なものの手配等、多くの作業が発生します。

指定申請に必要な書類も多く、なかなか手続き前に進まない事業所様も多くいらっしゃるようです。

また、運営にあたっては、障害者総合支援法や厚生労働省からの解釈通知の趣旨や内容を正確に理解しておく必要があります。

幣事務所では、障がい者グループホームの開設希望の事業所様のための開設・運営のサポートを行っております。

ご相談の予約や業務に関するご質問・お見積りについては、ご遠慮なくお電話又はメールフォームでお問い合わせください。