放課後等デイサービスの報酬は「単位」という形で決まっています。1単位は10円で計算され、これに市町村ごとに設定されている「地域区分」に該当する加算率を乗じることにより、人件費の地域差を調整して算定します。
放課後等デイサービス(重症心身障がい児以外を対象)の報酬の算定(基本報酬・主な加算等)についての概要をまとめてみましたので、参考にしてください。(2019年10月時点のもの)
基本報酬
放課後等デイサービスの基本報酬は指標該当児の割合、利用定員、サービス提供時間により報酬単位が設定されています。
指標該当児の割合が50%以上であれば「区分1」、50%未満であれば「区分2」とされます。
指標該当児とは?
障がい児のうち食事、排せつ、入浴及び移動のうち3以上の日常生活動作について全介助を必要とするもの及び厚生労働省告示第269号別表第2に掲げる項目の欄の区分に応じ、その項目が見られる頻度等をそれぞれ同表の0点の欄から2点の欄までに当てはめて算出した数の合計が13点以上であると市町村が認めたもの。
報酬区分
障がい児状態等区分 | 指標該当児等の在籍者数の割合 | 授業終了後に提供するサービスの提供時間 |
区分1の1 | 50%以上 | 3時間以上 |
区分1の2 | 3時間未満 | |
区分2の1 | 50%未満 | 3時間以上 |
区分2の2 | 3時間未満 | |
対象外 | 重症心身障がい児、共生型事業所 |
休業日について
放課後等デイサービスの基本報酬における休業日とは、次のとおりです。
・学校境域法施行規則第61条及び第62条の規定に基づく休業日
・学校教育法施行規則第63条の規定に基づく授業が行われない日
参考基本報酬単位数
区分2の1の場合の放課後等デイサービス費(( )は休業日に行う場合)
定員 | 単位数 | 有資格者を配置した場合 |
定員10人以下 | 612単位(730単位) | +9単位(+12単位) |
定員11人以上20人以下 | 407単位(486単位) | +6単位(+8単位) |
定員21人以上 | 306単位(376単位) | +4単位(+6単位) |
主な加算等
児童指導員等配置加算(有資格者配置)
必要な従業者の員数のうち、1人以上が、児童指導員、保育士又は強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)修了者、重度訪問介護従業者養成研修行動支援課程修了者若しくは行動援護従業者養成研修修了者(以下「児童指導員等」という、)である場合に算定することができます。
「1人以上」とは、サービス提供時間を通じて1人以上を配置しているものとして届け出た場合に算定することができます。
児童指導員等加配加算
必要な従業者を配置した上で、更に常勤換算で1人以上の従業者を配置し要件を満たした場合に算定できます。
加算区分 | 要件 | 報酬単位 |
(Ⅰ) | 次のいずれも満たすこと。 ・児童指導員等配置加算を算定していること ・人員配置上必要な従業者数に加えて、常勤換算で1以上の従業者を配置していること ・理学療法士等・児童指導員等を配置する場合は、従業者の総数のうち常勤換算で2人以上配置していること | ①理学療法士等の場合 +209単位/日 ②児童指導員等の場合 +155単位 ③その他の従業者の場合 +91単位 |
(Ⅱ) | 次のいずれも満たすこと。 ・障がい児状態区分が区分1以上であること ・加算区分(Ⅰ)の要件を満たした上で、更に常勤換算で1人以上の従業者を配置していること ・理学療法士等・児童指導員等を配置する場合は、従業者の総数のうち常勤換算で2人以上配置していること | |
理学療法士等 | 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、保育士、心理療法の技術を有する従業者又は視覚障がい者の生活訓練の養成を行う研修を終了した方 | |
児童指導員等 | 児童指導員、強度行動障がい者支援者養成研修(基礎研修)を修了した障がい福祉サービス経験者又は指導員 | |
その他の従業者 | 障がい福祉サービス経験者又は指導員(児童指導員を除く) |
加算の算定に要する人員は常勤換算で1人以上ですので、常勤の方の配置でなくても非常勤の方複数名の配置で算定が可能です。
看護職員加配加算
一定の基準を満たす医療的ケア児を受け入れるために安吾職員を加配している場合に、加算を算定できます。
加算区分 | 要件 | 報酬単位 |
(Ⅰ) | ・人員配置上必要な従業者数に加えて、看護職員を常勤換算で1人以上配置していること 及び 医療的ケアに関する判定スコアのいずれかにある状態に該当する障がい児の数が1人以上であること | 区分Ⅰの場合の単位数 利用定員10人以下の場合200単位/日 |
(Ⅱ) | ・人員配置上必要な従業者数に加えて、看護職員を常勤換算で2人以上配置していること 及び 医療的ケアに関する判定スコアの合計が8点以上にある状態の障がい児の数が5人以上であること | |
(Ⅲ) | ・人員配置上必要な従業者数に加えて、看護職員を常勤換算で3人以上配置していること 及び 医療的ケアに関する判定スコアの合計が8点以上にある状態の障がい児の数が9人以上であること |
家庭連携加算
放課後等デイサービス計画に基づき、あらかじめ保護者の同意を得て、障がい児の居宅等を訪問して、障がい児及びその家族等に対する相談援助を行った場合に、月2回を限度として算定できます。(1時間未満:187単位/回、1時間以上:280単位/回)
事業所内相談支援加算
放課後等デイサービス計画に基づき、あらかじめ保護者の同意を得て、障がい児及びその家族等に対する相談援助を行った場合に、月1回を限度として算定できます。(35単位/回)
〇次の場合は算定できません。
・相談援助が30分に満たない場合
・当該相談援助について家庭連携加算又は訪問支援特別加算を算定している場合
〇相談援助を行った日時及び相談内容の要点に関する記録をすること
訪問支援特別加算
概ね3ヶ月以上継続的に事業所を利用していた障がい児が、連続して5日間利用しなかった場合に、放課後等デイサービス計画に基づき、あらかじめ保護者の同意を得て、障がい児の居宅を訪問して、相談援助等を行った場合に、月2回を限度として算定できます。(1時間未満:187単位/回、1時間以上:280単位/月)
月に2回算定する場合は、加算の算定後又は事業所の利用後、再度5日間以上連続して事業所の利用がなかった場合にのみ対象となります。
欠席時対応加算
障がい児が、あらかじめ事業所の利用を予定した日に、急病等によりその利用を中止した場合において、障がい児又は家族等との連絡調整その他の相談援助を行った場合に、月4回を限度に算定できます。(480単位/日)
利用を中止した日の前々日、前日又は当日に中止の連絡があった場合に算定可能となります。
送迎加算
居宅又は学校と事業所との間の送迎を行った場合に、片道につき加算できます。(54単位/回)
障がい児に対する送迎加算及び看護職員加配加算を算定している事業所において、喀痰吸引等の医療的ケアが必要な障がい児に対して看護職員を伴って送迎を行った場合には、さらに37単位が加算されます。
また、同一敷地内の他の事業所との間で送迎を行った場合には、所定単位数の70%の算定となります。
特別支援加算
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理指導担当職員、看護職員、視覚障害者の生活訓練を専門とする技術者の養成を行う研修を修了した方を配置して、計画的に機能訓練又は心理指導を行った場合に算定できます。(54単位/日)
強度行動障害児支援加算
強度の行動障がいを有する障がい児に対して支援を行った場合に算定できます。(155単位/日)
支援を行う日に、強度行動障がい支援者養成研修(基礎研修)を修了した従業者を配置しなければなりません。
医療連携体制加算
医療機関等との連携により、看護職員を事業所に訪問させ、利用者に看護を行った場合や当該看護職員に喀痰吸引等に係る指導を受けた場合、認定特定行為従事者が喀痰吸引等を行ったあ場合等に加算することができます。
区分 | 要件 | 報酬単位 |
(Ⅰ) | 医療機関等との連携により、看護職員を訪問させ、障がい児に看護を行った場合 | 500単位/日 |
(Ⅱ) | 医療機関等との連携により、看護職員を訪問させ、2以上の障がい児に看護を行った場合 | 250単位/日 |
(Ⅲ) | 医療機関等との連携により、看護職員を訪問させ、認定特定行為業務従事者に対して指導を行った場合 | 500単位/日 |
(Ⅳ) | 喀痰吸引等が必要な方に対して、認定特定行為業務従事者が、喀痰行為等を行った場合 | 100単位/日 |
(Ⅴ) | 医療機関等との連携により、看護職員を訪問させ、障がい児に4時間を超えて看護を行った場合 | 1,000単位/日 |
(Ⅵ) | 医療機関等との連携により、看護職員を訪問させ、2以上の障がい児に4時間を超えて看護を行った場合 | 500単位/日 |
利用者負担額上限管理加算
利用者の求めに応じて、他の事業所も含めて利用者の利用者負担上限額を管理した場合に月1回を限度に加算することができます。(150単位/月)
上限管理事業所のみを利用し、他の事業所を利用しなかった月については算定できません。
延長支援加算
運営規程に定める営業時間が8時間以上であり、営業時間の前後の時間において、支援を行った場合に算定できます。
・営業時間には、送迎のみを実施する時間は含まれません。
・延長時間帯に基準として置くべき直接支援従事者を1名以上配置していること
福祉専門職員配置等加算
良質な人材の確保とサービスの質の確保の向上を図る観点から、以下の条件に応じて加算できます。
区分 | 要件 | 報酬単位 |
(Ⅰ) | 常勤の児童指導員又は障がい福祉サービス経験者のうち、社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士又は公認心理師の資格保有者が35%以上雇用されている。 | 15単位/日 |
(Ⅱ) | 上記の資格保有者が25%以上雇用されている。 | 10単位/日 |
(Ⅲ) | 児童指導員、保育士又は障がい福祉サービス経験者のうち、常勤職員が75%以上又は勤続3年以上の常勤職員が30%以上 | 6単位/日 |
多機能型事業所の場合、全てのサービス種別の直接処遇職員を合わせて要件を満たすかを確認してください。
関係機関連携加算
障がい児の関係機関と連携し、情報を共有することにより障がい児に対する理解を深め、サービスの質を高めていく取組を評価する加算です。
区分 | 算定要件 | 報酬単位 |
(Ⅰ) | あらかじめ保護者の同意を得て、放課後等デイサービス計画に関する会議を開催し、小学校その他関係機関との連絡調整及び相談援助を行った場合に、月1回を限度に算定可能 | 200単位/日 |
(Ⅱ) | あらかじめ保護者の同意を得て、就職予定の企業又は官公庁等との連絡調整及び相談援助を行った場合に1回を限度に算定可能 | 200単位/日 |
保育・教育等移行支援加算
移行支援を行ったことにより、事業所を退所して集団生活を営む施設等に通うことになった障がい児に対して、退所後30日以内に居宅等を訪問して相談援助を行った場合に1回を限度として算定できます。
・退所して病院又は診療所に入院する場合、退所して他の社会福祉施設等に入所する場合、学校へ入学する場合、死亡退所の場合は算定できません。
・移行支援及び相談支援を行った場合は、行った日及びその内容の要点に関する記録を残してください。
福祉・介護職員処遇改善加算
直接処遇職員の賃金改善に充てるために設けられた加算です。
加算を取得するためには毎年度、賃金改善計画の届出と実績報告が必要となります。
>> 詳しくはこちらの専用ページをご確認ください。
放課後等デイサービスの開設をご検討の方へ
放課後等デイサービスの開設にあたっては、事業計画の策定、物件の選定、人員の確保、運営に必要なものの手配等、多くの作業が発生します。
指定申請に必要な書類も多く、なかなか手続き前に進まない事業所様も多くいらっしゃるようです。
また、運営にあたっては、児童福祉法や厚生労働省からの解釈通知の趣旨や内容を正確に理解しておく必要があります。
幣事務所では、放課後等デイサービスの開設希望の事業所様のための開設・運営のサポートを行っております。
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