幣事務所では、障がい福祉サービス事業者様からの福祉・介護職員処遇改善加算(以下、処遇改善加算)に関するお問い合わせをよくいただきます。
処遇改善加算は、介護職員や生活支援員などの直接処遇職員さん処遇(基本給や一時金等)の改善に充てるための費用を一定の要件の基に支給する制度のことをいいます。

あくまでも、職員さんの処遇の改善のために支給されるものですので、他の目的で消費することは許されず、支給された額のすべてを処遇改善に充てる必要があります。

どのように導入すればよいのかお悩みの事業者様も多いようですので、簡単に、処遇改善加算の導入方法について説明してみたいと思います。

処遇改善加算の概要についてはこちらのページでご確認ください。
>> 福祉・介護職員処遇改善加算について(当サイト内ページ)

福祉・介護職員処遇改善加算導入の流れ

処遇改善加算を算定するまでの流れについては、以下のとなります。

ステップ1 申請先自治体(広域)のWEBサイトで手続き方法の確認

申請先自治体(広域)のWEBサイトで、処遇改善加算の届出方法提出書類届出スケジュール等を確認します。

また、厚生労働省から通知されている「処遇改善加算の基本的考え方」の内容も確認してください。

〇各申請先の福祉・介護職員処遇改善加算 該当ページリンク

≫ 福祉・介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方及び様式例の提示について(厚生労働省)
≫ 大阪市 障害者施策部 運営指導課 指定・指導グループ
≫ 堺市 健康福祉局 障害福祉部 障害施策推進課
≫ 岸和田市・泉大津市・貝塚市・和泉市・高石市・忠岡町 広域事業者指導課
≫ 泉佐野市・泉南市・阪南市・熊取町・田尻町・岬町 広域福祉課

ステップ2 処遇改善加算計画案の作成

キャリアパス要件(Ⅰ~Ⅲ)及び職場環境要件のどの要件を満たし、どの区分の加算(加算Ⅰ~Ⅴ)を取得するのかを明確にし、処遇改善加算計画案を作成する。

キャリアパス要件Ⅰ職位職責又は職務内容に応じた任用要件が定められている

キャリアパス要件Ⅱ資質向上のための目標及び達成するための具体的な計画に基づいた研修等の実施又は機械を確保している

キャリアパス要件Ⅲ経験若しくは資格等に応じて、又は一定の基準に基づき昇給する仕組みが設けられている

         キャリアパス要件Ⅲのイメージ

職場環境要件:あらかじめ定められている「資質の向上」「職場環境・処遇の改善」「その他」の3つの分類の項目のどれか一つでも当てはまる

ステップ3 要件の整備

取得する加算区分が決まったら、各キャリアパス要件を満たせるよう就業規則等の根拠規定を整備する。

キャリアパス要件Ⅰ・Ⅲ:就業規則、賃金規程、人事考課規程、キャリアパス規程等
キャリアパス要件Ⅱ  :資質向上のための目標及び計画

賃金制度や資質向上のための計画は、実行可能なものにすること。

ステップ4 就業規則等を労働基準監督署へ届出

従業員が10人以上(常勤・非常勤含む)となる場合は、労働基準監督署へ就業規則を届出る必要があります。

ステップ5 処遇改善計画の策定

前年賃金実績等を基により具体的な処遇改善計画を策定していきます。

加算前の賃金総額(前年度の直接処遇職員の賃金総額)
・対象期間の予想報酬額に基づく処遇改善加算の見込額の算定
・処遇改善加算の見込額を上回る賃金改善の見込額の算定
支給対象者処遇改善加算の支給方法の決定
・その他

ステップ6 利用者の同意を得る

処遇改善加算の算定にあたっては、利用者負担が発生します。

よって、処遇改善加算を導入するにあたっては、利用者様に重要事項説明書等の変更等を通じて、同意を得る必要があります。

多くの事業所では、重要事項説明書を変更するのではなく、新たに同意書を作成して対応しています。

利用者様にとっては、自己負担額の上昇、つまり不利益変更になりますので、十分に説明し、理解して頂く必要があります。

また、サービス料料金や利用者負担額に変更が生じることから、運営規定の変更が生じますので、忘れず変更してください。

ステップ7 処遇改善計画の内容を職員に周知

処遇改善加算計画にある改善方法、改善額などはすべての福祉・介護職員に周知することが求められます。

その方法は、各法人・事業所において適切な方法を選択することができ、文書による通知、会議での説明等が考えられます。

職員は随時入れ替わりますので、周知文書を用意しておきましょう。

ステップ8 処遇改善計画書及びキャリアパス要件届出書等の必要書類の作成・提出

処遇改善計画書及び添付書類を準備の上、行政窓口へ提出します。
主な提出書類は下記のとおりです。

1.変更届出書
2.介護給付費の算定に係る体制等状況一覧表
3.福祉・介護職員処遇改善加算(特別)加算届出書(別紙様式3)
4.誓約書
5.福祉・介護職員処遇改善計画書(別紙様式2)
6.別紙様式2(添付書類1):指定権者内事業所一覧
7.就業規則等(常時10人以上の従業員を雇用している場合)
対象職員の労働条件通知書の写し(常時10人未満の従業員しか雇用していない場合)
※その他、給与規定等キャリアパス要件を定めていることを証明する資料
8.直近の「労働保険関係成立届」又は「労働保険概算・確定保険料申告書」の写し

ステップ9 処遇改善計画の実施及び実績報告書の提出

処遇改善計画に基づいて、賃金改善を実施します。
実地指導等に対応できるよう、賃金改善に係る資料を用意しておきます。

また、毎年7月末日までに、前年度の処遇改善加算の実績を報告することになっています。

福祉・介護職員処遇改善加算の導入をご検討の方へ

処遇改善加算は、制度の目的に基づいた運用を行っていない事業所もあることから、年々、要件が厳しくなってきています。

また、届出に必要な書類も多く実績の報告も必要なこともあり、
導入に足踏みされている事業所様も多くいらっしゃるようです。

幣事務所では、障がい福祉サービス事業所様のために、処遇改善加算導入サービスを提供しております。

処遇改善加算の導入でお悩みの事業所様は、ぜひ、幣事務所へお問い合わせください。