就労継続支援(A型・B型)事業所を開設するためには、次の設備基準を満たしていなければなりません。(設備等の具体的な説明は下記に記載)
※あくまでも、下記は一般的な基準であり、本ページ作成時点でのものとなります。また、すべての行政機関で該当するものではありませんので、具体的な基準内容については事前に申請先行政機関へお問い合わせください。
>> 就労継続支援(A型・B型)事業の人員基準についてはこちら
>> 就労継続支援(A型・B型)事業の運営基準についてはこちら
就労継続支援(A型・B型)事業の設備基準の概要
訓練・作業室 | 訓練又は作業に必要な機械器具を備えていること 広さについては1人当たり3㎡以上(堺市は3.3㎡以上) が指針となっているところが多いようですが、指定権者により異なるため事前にご確認ください。 |
トイレ | 利用者の特性に応じたもの |
洗面所 | 手指を洗浄する設備を備えること 障がい者の使用する設備及び飲用に供する水に衛生上必要な措置を講じること |
相談室 | 苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じること 室内における談話の漏洩を防ぐための間仕切り等を設けること |
多目的室 | 利用者の食事や談話するためのスペース ※利用者の支援に支障がなければ、相談室との兼用とすることができます。 |
構造設備 | 事業所の構造及び設備は、利用者の特性に応じて工夫され、かつ、日照、採光、換気等の利用者の保健衛生に関する事項及び防災について十分考慮されたものであること |
最低定員 | A型:定員10人以上(多機能型も同様) B型:定員20人以上(多機能型は10人) |
他の法令の制限 | 建物の新築、既存の建物の就労継続支援A型・B型の事業開始、運営等にあたっては、障害者総合支援法以外にも、建築基準法、消防法等、関係法令を遵守する必要があります。 |
就労継続支援(A型・B型)事業所の立地場所について
就労継続支援(A型・B型)事業所の設置にあたっては、利用者の交通の利便性や社会参加が可能かどうかは欠かせない要素となります。
就労継続支援(A型・B型)事業所の立地については、次のようなことに注意しなければなりません。
・近隣競合事業所の状況の把握 ・新規参入して十分に収益が得られるのかどうか ・候補物件に設備基準を満たすのに十分な面積があるか ・送迎サービスを行う場合、駐車場を確保できるか ・市町村担当部署に施設の必要量に達していないかを確認 ・都市計画法担当部署で用途地域等の確認 ・建築基準法担当部署で用途変更等の必要性の確認 ・管轄消防署で必要消防設備等の確認 ・浸水想定区域と土砂災害警戒区域の確認 (市長村担当部署) ・工事や事業の概要について近隣住民等への説明 (トラブル防止のため) |
就労継続支援(A型・B型)事業所の建物について
就労継続支援(A型・B型)事業については、立地条件も大事ですが、よい物件があったとしても、その建物が建築基準法や消防法の基準を満たしていなければ、その建物を使用することはできません。
①建築基準法について
就労継続支援(A型・B型)事業を行う建物は、建築基準法上の基準を満たしている必要があります。
ですので、既存の物件を使用する場合には、当該物件が建築当時に工事完了後の完了検査を受けていることを確認しなければなりません。
完了検査を受けているかどうかの確認は、検査完了後に交付される「検査済証」で確認できます。
完了検査済証がない場合には、物件所在地の建築確認所管行政庁で検査済証の交付の有無を確認することもできます。
また、店舗や住居として使用されている既存建物を、建築基準法施行令第19条第1項で定められている「児童福祉施設等(就労継続支援はこれに含まれます)」として使用する場合には、用途変更という建築確認申請が必要となります。(但し、床面積が200㎡を超えるの場合)
床面積が200㎡以下の建物の場合には、建築確認申請は不要ではありますが、新たな用途の防火避難関係規定等に適合させる必要はあります。
用途変更については、こちらの大阪市発行の資料が参考になります。
>> 既存建築物を福祉関係施設に用途変更する場合の確認申請について(大阪市 建築確認課)
既存建物を活用する場合には、現在の建物が建築時又は増築時の建築基準法の規定に適合しているのかを確認するために「完了検査済証」があるかどうかを必ず確認してください。
※必ずしも「完了検査済証」の交付を受けてなくても建築確認申請を受けていれば、問題なしとしている行政機関もありますので、事前にご確認ください。
なお、用途変更等の建築確認申請手続きにつきましては、建築士にご相談ください。
>> 用途変更について詳しくはこちらをご確認ください。
②消防法について
就労継続支援(A型・B型)事業の建物は、消防法令上、消防用設備の設置基準が厳しい特定防火対象物に指定されています。
特定防火対象物は(1)項から(20)項に分類されており、就労継続支援(A型・B型)事業所は、「(6)項ハ」に該当します。
主に必要な設備としては、避難誘導灯、自動火災報知設備、消火器等があります。
(6)項ロ該当 | (6)項ハ該当 | |
消火器 | 全ての施設 | 全ての施設 |
避難誘導灯 | ||
自動火災報知機 | 延べ床面積300㎡以上 | |
スプリンクラー | 延べ床面積6,000㎡以上(平屋建てを除く) | |
防火管理者 | 収容人員10人以上 | 収容人員30人以上 |
(平成27年4月1日施行消防法令改正による設置基準)
なお、テナントビルや共同住宅の1階店舗部分に入居する場合、建物全体の規模や用途によって、他の消防設備が必要となる場合があります。
詳しくは、事前に物件所在地の消防署予防課で確認してください。
>> 社会福祉施設の消防設備の設置基準について詳しくはこちらをご確認ください
就労継続支援(A型・B型)事業の設備基準
就労継続支援(A型・B型)事業には、次のような設備が必要とされています。
すべての設備に共通することですが、利用者さんが利用しやすいよう配慮する必要があります。(段差解消、通路幅、手すりの設置等)
訓練・作業室
指導訓練室は、利用者さんが与えられた仕事に必要な作業や訓練を行うスペースです。
訓練又は作業に必要な器具を備えておく必要があります。
訓練・作業室の広さは、省令基準では「訓練又は作業に支障がない広さを有すること」と定めてあり、具体的な面積の基準はありませんが、利用定員1人当たり3.0㎡(大阪市)又は3.3㎡(堺市)としている指定権者が多く、20人定員の場合は60㎡又は66㎡以上の広さが必要となります。
相談室
就労継続支援(A型・B型)事業所の利用をお考えの障がい者さん等が相談するスペースです。
相談者のプライバシーに配慮して、パーティション等で外部から見えないようにしなければなりません。
多目的室
食事・休憩等、作業以外の時間帯に様々な目的で使用するスペースです。
使用に支障がなければ、相談室と兼用が可能です。
洗面所
手指を洗浄する設備を備えれければなりません。
利用者の利便性を考え、手洗い設備は、自動水栓やレバー式にする等の配慮をする必要があります。
また、利用者の衛生面を考えて、石鹸及びペーパータオルの設置が必要です。
トイレ
利用する障がい者さんの特性に応じたものが必要です。
以上が、就労継続支援(A型・B型)事業所を開設するにあたって必要な建物や設備となります。
ここでは、細かな点までは説明できていませんので、設備等に関する疑問がある場合は、物件の契約をする前に、必ず専門家又は指定行政庁に確認してください。
就労継続支援(A型・B型)事業の開設をご検討の方へ
就労継続支援(A型・B型)事業の開設にあたっては、事業計画の策定、物件の選定、人員の確保、運営に必要なものの手配等、多くの作業が発生します。
指定申請に必要な書類も多く、なかなか手続き前に進まない事業所様も多くいらっしゃるようです。
また、運営にあたっては、障害者総合支援法や厚生労働省からの解釈通知の趣旨や内容を正確に理解しておく必要があります。
幣事務所では、就労継続支援A型・B型事業所の開設希望の事業所様のための開設・運営サポートを行っております。
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