障がい福祉サービスの報酬は「単位」という形で決まっています。1単位は10円で計算され、これに市町村ごとに設定されている「地域区分」に該当する加算率を乗じることにより、人件費の地域差を調整して算定します。

就労継続支援B型事業の報酬の算定(基本報酬・主な加算等)についての概要をまとめてみましたので、参考にしてください。(令和3年度報酬改定時のもの)

基本報酬

就労継続支援B型の基本報酬は人員配置、利用定員、平均工賃により報酬単位が設定されています。

人員配置

就労継続支援B型事業では、人員配置(生活支援員及び職業支援員の総数)を利用者数に対し、最低10:1利用者数10人に対し1人)で配置しなければなりません。

しかし、この配置を手厚くすることで(7.5:1)とすることにより、報酬単位が高くなります

利用定員

利用定員が少ないほど報酬単位が高く設定されています。

平均工賃月額

就労継続支援B型事業者は、毎年5月31日まで前年度(前年4月から本年3月まで)の平均工賃月額等の工賃実績を報告することになっています。

参考

工賃平均月額が1万円未満の場合の就労継続支援B型サービス費

区分利用定員報酬単位
就労継続支援B型サービス費Ⅰ
(就労継続支援B型サービス費Ⅱ)
20人以下566単位(516単位)
21人以上40人以下504単位(461単位)
41人以上60人以下473単位(427単位)
61人以上80人以下464単位(418単位)
81人以上448単位(404単位)

主な加算等

初期加算

利用開始日から起算して30日以内の期間について1日につき30単位加算されます。

ポイント

・過去3月間に当該施設を利用していない場合改めて算定可能
・30日を超えて入院した後に、再度利用した場合は改めて算定可能

訪問支援特別加算

概ね3ヶ月以上継続的にサービスを利用していた方が、最後に利用した日から連続して5日間利用がなかったときに、職員が居宅を訪問して相談援助を行った場合に、月2回まで加算できます。(1時間未満の場合187単位/回、1時間以上の場合280単位/回)

ポイント

「5日間」は利用者の利用予定日にかかわらず、開所日数の5日間を指します。

欠席時対応加算

利用者が急病等により利用を中止した際に、連絡調整や相談援助を行った場合に、月4回まで加算できます。(94単位/回)

障害福祉サービスの体験利用支援加算

利用者が障がい福祉サービス事業の体験利用を行った場合に、15日以内(開始日から90日以内に限ります)に限り加算できます。(加算(Ⅰ)500単位/日、加算(Ⅱ)250単位/日、地域生活支援拠点等の場合+50単位/日)

ポイント

地域移行支援事業者が行う障がい福祉サービスの体験的な利用支援を利用した場合に算定可能です。
単に見学等で体験利用を行った場合は算定対象外

在宅時生活支援サービス加算

やむを得ない事由により、通所によって支援を受けることが困難であると市町村が認める利用者に対して、当該利用者の居宅において支援を行った場合に加算できます。(300単位/日)

社会生活支援特別加算

厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出た場合に、厚生労働大臣が定める者(医療監査法対象者や刑務所出所者等)の地域生活のための相談支援や個別の支援を行った場合に算定できる加算です。(480単位/日)

送迎加算

居宅等と事業所との間の送迎を行った場合に、片道につき加算できます。(送迎加算(Ⅰ)27単位/回、送迎加算(Ⅱ)13単位/回)

送迎加算(Ⅰ)送迎加算(Ⅱ)
以下のいずれにも適合すること以下のいずれかに適合すること
・1回の送迎につき平均10人以上の利用者が利用
(定員20人未満の場合は平均50/100以上)
週3回以上の送迎を実施していること
ポイント

短期入所事業所のような利用者の宿泊場所についての送迎も居宅に準ずるものとして算定可能です。

食事提供加算

低所得者等であって就労継続支援B型計画等により食事の提供を行うことになっている利用者に対して、食事の提供を行った場合に加算できます。(30単位/日)

利用者のために食事を提供する体制を整えた事業所に対して、その人件費を補填することを目的に算定することができる加算です。

加算を算定できるのは、下記の場合に限定されますのでご注意ください。

施設内調理施設外調理
施設内の調理室を使用して調理(調理業務の外部委託も可)クックチル、クックフリーズ又は真空調理(真空パック)により急速に冷却又は冷凍したものを再度過熱して提供又はクックサーブにより提供
出前や市販の弁当を購入して提供する方法は算定の対象外

医療連携体制加算

医療機関等との連携により、看護職員を事業所に訪問させ、利用者に看護を行った場合や当該看護職員に喀痰吸引等に係る指導を受けた場合、認定特定行為従事者が喀痰吸引等を行ったあ場合等に加算することができます。

区分要件報酬単位
(Ⅰ)
医療機関等との連携により、看護職員を訪問させ、利用者に対して1時間未満の看護を行った場合(8人が限度)32単位/日
(Ⅱ)医療機関等との連携により、看護職員を訪問させ、利用者に対して1時間以上2時間未満の看護を行った場合(8人が限度)63単位/日
(Ⅲ)医療機関等との連携により、看護職員を訪問させ、利用者に対して2時間以上の看護を行った場合(8人が限度)125単位/日
(Ⅳ)医療機関等との連携により、看護職員を訪問させ、厚生労働大臣が定める者に対して看護を行った場合(8人を限度)800単位/日
(1人目)
500単位/日
(2人目)
400単位/日
(3~8人目)
(Ⅴ)
医療機関等との連携により、看護職員を訪問させ、認定特定行為業務従事者に喀痰吸引等に係る指導を行った場合500単位/日
(Ⅳ)喀痰吸引等が必要な方に対して、認定特定行為業務従事者が、喀痰行為等を行った場合100単位/日

利用者負担額上限管理加算

利用者の求めに応じて、他の事業所も含めて利用者の利用者負担上限額を管理した場合月1回を限度に加算することができます。(150単位/月)

施設外就労加算

事業所外(企業や官公庁等)で作業を行った場合に、月の利用日数から事業所内における必要な支援等を行うための2日を除く日数を限度として加算できます。(100単位/日)

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算

視覚・聴覚・言語機能に重度の障がいがある利用者が一定数(利用者の3割)以上であって、意思疎通に関し専門性を有する職員が一定数(常勤換算で利用者の数を50で除した数)以上配置されている場合に加算できます。(41単位/日)

意思疎通に関し専門性を有する職員とは次のいずれかの方をいいます。
・点字の指導、点訳、歩行支援を行うことができる方
・手話通訳等を粉うことができる方

福祉専門職員配置等加算

良質な人材の確保とサービスの質の確保の向上を図る観点から、以下の条件に応じて加算できます。

区分要件報酬単位
(Ⅰ)常勤の職業指導員、生活支援員のうち、社会福祉士介護福祉士精神保健福祉士又は公認心理師資格保有者が35%以上雇用されている。15単位/日
(Ⅱ)上記の資格保有者が25%以上雇用されている。10単位/日
(Ⅲ)職業指導員、生活支援員のうち、常勤職員が75%以上又は勤続3年以上の常勤職員が30%以上  6単位/日
ポイント

多機能型事業所の場合、全てのサービス種別の直接処遇職員を合わせて要件を満たすかを確認してください。

目標工賃達成指導員配置加算

目標工賃達成指導員を常勤加算方法で1人以上配置し、手厚い人員体制をもって、目標工賃の達成に向けた取り組みを行う場合に加算できます。

区分利用定員報酬単位
目標工賃達成指導員配置加算20人以下89単位/日
21人以上40人以下80単位/日
41人以上60人以下75単位/日
61人以上80人以下74単位/日
81人以上72単位/日
ポイント

・職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算で7.5:1以上
目標工賃達成指導員、職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で6:1以上

就労移行支援体制加算

一般就労への移行後6ヶ月継続して就労している方が、前年度において定員の5%を超える場合に加算できます。
(工賃が1万円未満の場合)

区分利用定員報酬単位
就労移行支援体制加算(Ⅰ)
(7.5:1)
20人以下48単位/日
21人以上40人以下22単位/日
41人以上60人以下13単位/日
61人以上80人以下 9単位/日
81人以上 7単位/日
就労移行支援体制加算(Ⅱ)
(10:1)
20人以下45単位/日
21人以上40人以下21単位/日
41人以上60人以下 12単位/日
61人以上80人以下 9単位/日
81人以上 6単位/日

重度者支援体制加算

前年度における障害基礎年金1級を受給する利用者一定数以上である場合等に加算できます。

区分利用定員報酬単位
重度者支援体制加算(Ⅰ)
(100分の50以上)
20人以下56単位/日
21人以上40人以下50単位/日
41人以上60人以下47単位/日
61人以上80人以下46単位/日
81人以上45単位/日
重度者支援体制加算(Ⅱ)
(100分の25以上)
20人以下28単位/日
21人以上40人以下25単位/日
41人以上60人以下24単位/日
61人以上80人以下23単位/日
81人以上22単位/日

福祉・介護職員処遇改善加算

直接処遇職員の賃金改善に充てるために設けられた加算です。

加算を取得するためには毎年度、賃金改善計画の届出実績報告が必要となります。

>> 詳しくはこちらの専用ページをご確認ください。

就労継続支援(A型・B型)事業の開設をご検討の方へ

就労継続支援(A型・B型)事業の開設にあたっては、事業計画の策定、物件の選定、人員の確保運営に必要なものの手配等、多くの作業が発生します。

指定申請に必要な書類も多く、なかなか手続き前に進まない事業所様も多くいらっしゃるようです。

また、運営にあたっては、障害者総合支援法や厚生労働省からの解釈通知の趣旨や内容を正確に理解しておく必要があります。

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